POINT
- 格安SIMのしくみと特徴
- メリット・デメリット
- 格安SIMがおすすめな人とそうでない人
- よくある疑問をやさしく回答
格安SIMという言葉は、ここ近年私たちの生活にとって身近なものになりました。
しかし、「スマホ代が安くなる」ということは知っていても、「具体的にどんなものなのか」わからない方も多いのではないでしょうか。
格安SIMは確かにスマホ代の節約はできますが、少なからずデメリットがあることも事実です。
もしかしたら、あなたは格安SIMよりも大手キャリアを使い続けた方がお得な人かも知れません。
この記事では、格安SIMって何?というはじめての方もわかるように、特徴をはじめメリット・デメリットを解説します。
よく挙げられる疑問についてもまとめているので、はじめて格安SIMへ乗り換える方は参考にしてみてください。
この記事の目次
格安SIMとは
格安SIMとは、その名の通り格安で電話やインターネットを利用できる通信サービスです。
一般的に、通信会社は三大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)と格安SIMとに分けられ、格安SIMは三大キャリアから回線を借り受けている通信会社のことを指します。
そもそも知りたい!
SIMカードとは?
SIMカードとは、利用者の電話番号や契約情報などが記録されているチップのことです。
音声通話はもちろんネット接続する際にも必ず必要なものです。
種類は標準SIM・microSIM・nanoSIMの3種類あり、iPhoneはnanoSIMです。
スマホによって対応しているSIMカードは異なるので、乗り換え時は必ず確認しましょう。
格安SIMの特徴
格安SIMの最大の特徴は、三大キャリアの回線を借り受けていることです。
自前の通信回線は持っていないため、私たちユーザーが利用する回線は、三大キャリアと同じものとなります。
ほんの一例ですが、CMなどで見かける大手の格安SIMも三大キャリアから回線を借りて運営しています。
ドコモ回線
- mineo
- 楽天モバイル
- OCNモバイルONE
- LINEモバイル
- BIGLOBEモバイル
- イオンモバイル
- IIJmio
au回線
- UQモバイル
- mineo
- 楽天モバイル
- LINEモバイル
- BIGLOBEモバイル
- イオンモバイル
- IIJmio
SoftBank回線
- LINEモバイル
- mineo
ここがポイント
MVNOとMNOとは
格安SIMのことをMVNO、大手通信会社のことをMNOと呼称する場合があります。
MVNOはMobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略で、MNOはMobile Network Operator(移動体通信事業者)の略であり、回線を借りている通信会社がMVNO、大元の通信会社がMNOを指します。
中には、格安SIMから回線を借りている孫請けのような格安SIMもあります。
格安SIMに加入しても利用する回線は変わらない
格安SIMを利用する際に覚えておきたいのは、格安SIMへ乗り換えても三大キャリアの回線を使うという点です。
そのため、例えばドコモからドコモの回線を使っている格安SIMへ乗り換えれば、乗り換え後もドコモ回線を使うことができます。
電話品質や電波状況は三大キャリアの頃と変わらないため、今現在不便なく支えている場合は現キャリアと同じ回線の格安SIMへ乗り換えることをおすすめします。
格安SIMのメリットとデメリット
格安SIMを利用することで生じるメリットとデメリットは、以下のようなものがあります。
メリット
- 料金が安い
- プランがわかりやすい
- 自由に乗り換えできる
- 今のスマホがそのまま使える
デメリット
- 通信速度が不安定
- 店舗がない
- 支払い方法
- ポイント優遇
格安SIMのメリット
格安SIMのメリットを4つあげました。ここからはひとつひとつ見て行きましょう。
スマホ代が安くなる
格安SIMの最大のメリットが、スマホ代が安くなることだと言えます。
通常3GB/月で4,000円〜が三大キャリアの相場となりますが、格安SIMの場合は2,000円以下で利用できる会社がほとんどです。
参考までに、格安SIM大手のUQモバイルとドコモの料金を比較してみました。
データ容量 | ドコモ | UQ |
3GB/月 | 3,980円 | 1,980円 |
3GBの場合、UQモバイルの方が月々2,000円安く利用することができます。年間にすると24,000円以上と大きな差が出てきます。
ここがポイント
データ容量が少ない人はよりお得に
近年三大キャリアは大容量プランが主流となっていますが、格安SIMは3GBや5GBなど、月のデータ使用量が少ない人の方がお得になる傾向があります。
三大キャリアの使い放題プランではデータを使いきれない人は格安SIMへ乗り換えた方がお得だと言えます。
料金プランがわかりやすい
三大キャリアでは、複雑な料金プランでよく理解していないまま契約している方も多いのではないでしょうか。
対して格安SIMの多くは、月のデータ容量と回線を選ぶだけのシンプル設計をとっている会社がほとんどです。
しっかり理解した上で契約できるため、プランの見直しも自身で行うことができます。
自由に乗り換えができる
格安SIMには2年縛りがないため、自分の好きなタイミングで解約することができます。
三大キャリアのように、更新月を待つ必要がありません。
今のスマホがそのまま使える
格安SIMでは、SIMカードのみを購入することもできます。
そのため、今使っているスマホをそのまま格安SIMでも使うことが可能。
Androidの場合は、機種によって使えない場合がありますが、iPhoneであればほとんどの機種がどこへ乗り換えても使うことができます。
格安SIMのデメリット
対して、一般的に言われている格安SIMのデメリットについても紹介します。
通信速度が不安定
格安SIMの最大のデメリットと言われているのが通信速度です。
格安SIMは、三大キャリアから回線を借りているというその性質から、一般的に朝・昼・夕3つの時間で通信速度が低下する傾向にあります。
通信速度が低下する時間
- 朝:8時〜9時頃
- 昼:12時〜13時頃
- 夕:18時〜19時頃
これらの時間帯は、往々にして下り通信速度が1Mbpsを割り込む場合があります。
もしもこの時間にYouTubeなどの動画を観たり、どうしてもスマホを使わなければならないなどの用事がある方は、格安SIMへの乗り換えは慎重になさった方が良いです。
逆に、これらの時間の速度低下に耐えられる(動画を観たりしない)場合は、格安SIMへ乗り換えても大きなストレスはないと言えるでしょう。
なお速度低下時であっても、LINEや電話などは問題なく使うことができます。
店舗がない
格安SIMは、料金を下げる一方でさまざまなコストカットを行なっており、その一つが店舗だと言われています。
三大キャリアには、ドコモショップやauショップ、ソフトバンクショップなどの直営店(キャリアショップ)が全国各地にありますが、格安SIMの場合は店舗がごく少数またはまったくない場合がほとんどです。
そのため、今までキャリアショップで行なっていたプランの変更や機種変更、修理手配などは全て自身で行わなければなりません。
ここがポイント
格安SIMのサポート体制
格安SIMでは、キャリアショップのない事業者がほとんどのため、不安に思う方も多いかと思います。
しかし、電話やチャット、メールなどの問い合わせが充実しているため、不明点があれば問い合わせを行うことができます。
また「キャリアショップを利用するのは年に一度程度」という方は、店舗がないという点でのデメリットはそこまで感じないと言えます。
支払い方法
格安SIMの支払い方法は、クレジットカード支払いが一般的です。
キャリアのように口座振替が利用できない会社も多いため、もしも口座振替で支払いを行いたい場合は、利用できる会社の中から選ぶことをおすすめします。
ポイント
ドコモのdポイントや、auのPontaポイントなど、三大キャリアでは月々の支払いに応じてポイントが貯まるサービスが行われており、貯まったポイントはコンビニなどさまざまな場所で使うことができます。
これらを賢く運用なさっている方は多いと思いますが、格安SIMではこのようなサービスはほとんど行われていません。
ここがポイント
回線を解約してもポイントは失効しません
今まで貯めたポイントは、回線を解約しても失効することはありません。
ただし、有効期限はあるので期限内に使い切るように注意しましょう。
解約前のカードやアカウントへのポイント移行は忘れずに。
- ドコモ:dポイント
- au:au WALLET・auPayポイント
- ソフトバンク:Tポイント
格安SIMのよくある疑問
格安SIMの仕組みやメリット・デメリットを挙げましたが「どうやって乗り換えるのか」「この機能は使えるのか?」など、疑問は尽きないのではないでしょうか。
ここからは、よく挙げられる疑問をまとめていきたいと思います。
契約に関する疑問
MNP(ナンバーポータビリティ)はできる?
今の電話番号を維持したまま乗り換えるMNP(ナンバーポータビリティ)は、三大キャリアから格安SIMへの乗り換えでも利用できます。
乗り換えにかかる初期費用は?
乗り換えにかかる費用は、三大キャリアと変わりません。
一般的には、解約手数料・MNP転出手数料・契約手数料がかかります。
解約手数料・MNP転出手数料は解約する事業者に、契約手数料は乗り換え先の事業者に支払います。
初期費用
- 解約手数料:0円〜9,500円
- MNP転出手数料:3,000円
- 契約手数料:3,000円
合計6,000円〜15,500円かかることになりますね。
ここがポイント
解約手数料に注意
2019年10月からの新プランにより、三大キャリアも解約手数料が1,000円になりましたが、気をつけたいのは旧プランを利用の場合は変わらずに9,500円の解約手数料がかかるということです。
キャリアによって対応はまちまちですが、新プランへの切り替え後であれば解約手数料が1,000円または0円となる場合があるので、現在お使いの事業者の対応状況は事前に確認しておきましょう。
なお、ドコモに関しては新プランへ変更しても、初回の更新月までは9,500円の解約手数料が発生するので要注意です。
端末に関する疑問
自分のスマホはそのまま使える?
基本的に、今使っているスマホはそのまま使えると考えて問題ありません。
しかし、SIMロックがかかっている場合は、購入元のキャリアと同じ回線の格安SIMでないと利用ができないので注意が必要です。
対応している端末であれば、解約までにSIMロックを解除しておきましょう。
SIMロックを解除することで、どの回線でも利用できるようになります。
機種変更はできる?
格安SIMは、SIMカードを差し替えるだけで機種変更が可能です。
新しいスマホさえ調達できれば、ショップへ赴いたり契約内容を変更する必要はありません。
スマホの調達は、新品のiPhoneならAppleStore、Androidや中古のiPhoneであればAmazonや中古ショップ、メルカリなどのフリマアプリで購入することができます。
なお、格安SIM各社でも販売は行なっているので、セール期などを狙って購入するのがおすすめです。
iPhoneは使える?
格安SIMでもiPhoneは使えます。
特にiPhoneは、SIMロックを解除すればどのキャリアで購入した端末であっても、自由に乗り換えが可能です。
また、型落ちのiPhoneは一部の格安SIMで購入もできます。
端末保証はある?
AppleCare+などのスマホの端末保証は、格安SIMでも提供されています。
中には他社購入の端末も保証する「持ち込み端末保証」を提供している格安SIMもあるため、スマホの故障が心配な方はこれらがある格安SIMを選びましょう。
タブレットは使える?
iPadなどのタブレットも、格安SIMへ乗り換えることができます。
SIMカードはデータSIMを選択しましょう。
通信に関する疑問
通信制限はある?
契約しているデータ容量を超過すると起こる通信制限ですが、格安SIMでも起こります。
しかし、三大キャリアよりも制限時の速度が速い格安SIMも存在するため、それらを利用することで三大キャリアよりも快適に使える可能性があります。
- 三大キャリア:128Kbps
- UQモバイル:300Kbps〜1Mbps
- mineo:300Kbps
データ容量はチャージできる?
契約分のデータ容量を使い切った場合は、データ容量をチャージすることができます。
しかし、三大キャリアに比べて、チャージ時のデータ容量は割高な傾向のため、おすすめはできません。
料金プランは余裕を持った容量のものを契約した方が良いでしょう。
mineoでは毎月1GBまでなら無料で引き出せるサービスも行なっています。
「ちょっと足りない」程度の場合はこれらを利用するのも一つの手だと言えます。
5Gは使える?
2020年より、三大キャリアで提供がスタートした5Gですが、現状格安SIMでの提供予定は発表されていません。
おそらく提供までしばらくかかると考えていた方が良いでしょう。
画像が低画質になるって本当?
格安SIMは、回線の混雑を回避するために、一部の会社で「通信の最適化」として送受信時の画像を自動的に圧縮している場合があります。
これは、通信速度が速くなったり消費されるデータ容量が減るというメリットがある一方で、画質が大きく低下してしまうデメリットがあります。
画質低下を避けたい場合は、自動圧縮機能のない格安SIMを選んだ方が良いでしょう。
なお、通信の最適化を実施している事業者であっても、mineoとBIGLOBEモバイルは自動圧縮を解除することができます。
格安SIMへ乗り換えるべき人とは?
格安SIMのメリット・デメリットを踏まえた結果、格安SIMへ乗り換えるべき人は以下のような方だと言えます。
こんな方におすすめ
- 安価でスマホを使いたい人
- 今のスマホを長く使いたい人
- 2年縛りにうんざりしている人
- しっかり理解した上で契約したい人
- 朝昼夕の速度低下時間に動画を観なくても大丈夫な人
一方、以下のような方は格安SIMへの乗り換えは対策を講じた上で慎重に検討された方が良いでしょう。
こんな方は注意!
- 朝昼夕の速度低下時間は動画視聴の習慣がある人
- 近くに店舗がないのが不安な人
- 口座振替を利用したい人
- dポイントなどのポイントを貯めたい人
ここがポイント
デメリットはワイモバイルとUQモバイルで解消できる
デメリットとしてあげた点は譲れないけれど、それでも格安SIMを利用したい場合は、ワイモバイルかUQモバイルを選ぶことをおすすめします。
この二つの会社は、朝昼夕の速度低下がない上、口座振替も利用でき、店舗も全国にあります。
他の格安SIMよりも多少利用料金は高いですが、三大キャリアよりもずっと安価で安定して利用できる事業者だと言えます。
メリット・デメリットを理解して乗り換えを検討しよう
格安SIMは、三大キャリアから回線を借りて運営している通信会社のことで、自前の回線を持っていないから安価な価格でサービスが提供できています。
通信速度が不安定になるなどの多少のデメリットもありますが、逆に言うとこの時間以外は快適に使うことができます。
メリット・デメリットを正しく理解して、格安SIMへの乗り換えを検討しましょう。
この記事のまとめ
- 格安SIMとは、三大キャリアから回線を借りて運営する通信会社のこと
- 料金が安く、わかりやすいプランが特徴。2年縛りもないため自由に乗り換えができる。
- SIMカードのみを購入すれば、今のスマホをそのまま使える
- 朝昼夕の一部時間は通信速度が低下するので要注意
- 多少のデメリットがあるため自身の使い方と合っているかをしっかり吟味しよう